FUJISATO LIVING COLUMN

  • 暮らしのタネ
  • 2017/11/08

雑誌の営業として日本全国をまわり、数々の地方取材も行ってきたライター小野。縁あって足を運ぶことになった藤里町で出会うものごとを通して、藤里町の魅力や地方で暮らすことについて考えます。
  
   
縄文土器が庭からざっくざく?

 今回、たまたま地域おこし協力隊の鈴木さんが、秋田大学の先生や学生と開いている地域の地図作りにも飛び入り参加。町史に詳しいおばあちゃんを筆頭に、ご近所のご老人が公民館に集まってきました。

 

 まずは室内で、自分が知っている「地域のかつての記憶」を地図に落とし込んでいきます。林業が盛んだった土地らしく、材木を運ぶトロッコの話、今はなくなったお店、温泉施設や神社仏閣の話……思い出話とセットになった土地の記憶がどんどんと溢れ出します。

 

公民館で昔の土地記憶をマップに落とすワークショップ

 

 一通りのトピックが出揃ったところで、みんなが気になった場所に行ってみることに。私が参加した班では、ぶっちぎりのインパクトだった「畑から縄文土器がどんどん出てくる」というお宅をはじめとした数カ所に出向きました。

 

石器を探して畑を掘る中通地区の方々

 

「こうやって掘ると出てくるんだよ」と教えられ、斜面を掘ると、数分で土器や矢じりが!

 

 以前は見学者を受け入れて、状態のいい土器や矢じりを自宅の居間に飾ったり、発掘作業を体験させたりしていたそうですが、現在はストップ。出土品は今はひっそりと居間の片隅に眠っているそうです。

 

 かつて出土したものを見せていただきましたが、あまりに無造作に扱っていて、「4000年前のもの」という重みはどこかへ吹っ飛んでしまいました(笑)。

 

各家で保管されている畑から発掘された石器群

 

 普段から交流のあるご近所さんも、身近な縄文土器の存在は意外と知らなかったみたい。4000年前のものといわれる土器を片手に、大盛り上がりのひとときになりました。

 

巡ったスポットのひとつ、銚子の滝。マイナスイオンをたっぷり浴びられます。

 

 地図一つと半日の時間があれば、どこでも、だれでもできる今回のワークショップ。地図をつくるという最終的なアウトプットや研究に落とし込まずとも、気軽に開催してみてもいいのかもしれません。「何もない」といわれる場所ほど、おもしろい事柄に出会えるような予感がします。

 

文=小野民

 

小野 民(おの たみ)
編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に離島・地方・食・農業などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫3匹と山梨県在住。   

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