FUJISATO LIVING COLUMN

  • ヒトビト
  • 2018/12/01

6年続けている和友教室の先生

北海道、沖縄、ハワイと遊び歩いているけれども、私は三谷家の4人姉弟の長女として育った、根っからの藤里っこ。生まれたのもこの町、育ったのもこの町。桂田正三さんと結婚してもここで暮らしているの。
私は昭和46年から何代目の先生かわからないけれど和友教室の先生をやっているの。年配の先生が亡くなれば、年の上の人から順番に先生にならないかと声がかかっていって、今は私が先生。先生と言っても、自分から教えるのではなくて聞かれたら答える、楽しくやればいいと思ってやってきたんだよね。和友教室の始まりは、大正時代と聞いているけれど具体的にいつから始まったかはわからないな。学校の先生たちが、お嫁さんに行く前の子たちに、「これだけは覚えておきなさい」と、和裁などの針仕事を冬の間に4か月間教えてきたの。今は1月の半ばから2か月だけども。農家の人は雪が降ってしまうと手があくでしょ。その間に教えてくれたの。教室では、ベストを編んでみたり。着物をこしらえてみたりして、最後に作ったものを写真に撮って1冊にまとめて、先生から一言のところでコメントを書くの。編むのに時間のかかるセーターなどを着て写真を撮る人もいて、皆やっと完成したと喜んでいるよ。教室の恒例行事として、針供養もしているの。

 

24年続けた交通指導隊

藤里に交通安全協会女性部ってなかったのよ、昔は。でも女性のドライバーが増えてきて、女性部を作ろうと昭和50年から友達と準備して、52年にようやく活動を開始したの。62年に盛大に10周年をお祝いしたこともあったよ。そこで、婦人部長をずっとやってきたの。月に1度我が家に女性部のメンバーで集って食事をしたり、お話したりするのが楽しみの一つだった。その後、交通指導隊を平成2年から始めて、今でも安全協会の役員をやっているけど。

 

切り絵作家・平野庄司先生の一番弟子

平野先生との出会いは、奥さんのミキさんが小学校1年生から4年生まで教えてくれた私の先生で、結婚して子どもがいる時に、子育ての悩みや子どもについて話し合える場『母親大会』に誘われたのがきっかけ。平野家に出入りして、庄司さんが切り絵をやっていたのをいいなと思って、弟子入りさせてもらったの。それで、私が平野庄司の一番弟子となったわけだ。平野先生は、車の免許を持っていなかったから、大館やら秋田市やらと先生が呼ばれたら乗せて歩いて、作業のお手伝いもさせてもらった。先生のお葬式までも手伝って、ここにある作品も家から持ってきて預かっているものだよ。今では先生の息子さんが東京からくれば、たくさんお土産を持たせてかえしてあげるのよ。

私の人生楽しいものだよ

作品も高いけれど、それを入れる額縁が高いじゃない。でも、旦那さんが作ってくれるのよ。二ツ井営林署で植える前の杉の根っこをある程度大きくなるまで育てる苗畑で働いていた頃に出会って、昭和38年に結婚したの。旦那さんは優しくて器用で、小さな棚や額縁を作ってくれるの。結婚して私の実家の敷地に家をたてて暮らしているんだけど、家を直した時にね、2階を編み物教室の場所にしたの。一時は20人も生徒がいてにぎやかだったよ。
私は会社に勤めたりはしたことなかったんだけど、小さな頃から習い事をさせてもらって、その中でも編み物の資格を取りたいと、秋田の方に電車に乗って行って勉強をしたのよ。私の人生、わりと楽しいものだよね(笑)。

ここの人は皆親戚なのよ

私は指導隊も24年、和友教室だって50年もやらせてもらって。みなさんにとても恵まれた私でした。ほら、ここの人はみんな親戚だから。昔は、「ゆいっこ」といって、田植えや田んぼのことは自分の家以外にも近所の人の分までやったんだよ。親戚じゃなくても、みんなが終わるまで自然と手伝ってきたんだよ。ここの人は温かいから、そういうことが昔から自然とできていたんだよね。
いじわるすればだめなのだって、楽しみながらやりましょうと。教室もなんでもあまり難しく考えないでやってきたの。それがどんどん広がっていって、今でも予定がびっしり。何か腑に落ちないことがあっても、家族と笑い話にして家の中だけで話すの。それが家族円満の秘訣になっているのかも。スケジュール帳も74才になるのに、毎日予定がいっぱい。だけど、苦痛だと思ったことなかったよ。いつでも楽しいと思って全部やっているの。今度も同窓会を企画していたり、私が家にいるのが珍しいから、いろんな人が声をかけてくるでしょ。ところで、あなたお酒は飲むの?この時期のビールはいいよね。今度はあなたと一緒に飲みたいね。(聞き手・根岸那都美)


プロフィール

かつらだ・りょうこ
昭和17年4月21日生まれ。藤里生まれ、育ち。和友教室の講師、藤里町芸術文化協会の副会長。元交通安全協会女性部などを務め、幅広く活動する。

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