FUJISATO LIVING COLUMN

  • 暮らしのツボ
  • 2023/03/31

今回ご紹介するのは、春の訪れを感じるおやつ「干し餅」です。

稲刈り終了後、秋から冬の一番寒い時期にかけて作られ、

1月下旬から春にかけて出回ります。

 

干し餅は、秋田県だけではなく、青森県や長野県など、

寒冷地で昔から作り続けられている伝統的な保存食です。

収穫したばかりのもち米で餅を作り、切って、吊るし編みに。

その後、水につけて多量の水分を含ませたら、

軒先など屋外に干します。

寒波を利用し、自然の力で餅を凍らせることで、

歯応えがいい干し餅ができます。

 

色とりどりの干し餅カーテン

 

作り手の方によると、しっかり凍っていないと、

餅に亀裂が入って失敗してしまうそうです。

寒さの厳しい時期に作るため、

「天候に左右される事が1番大変」と教えてくれました。

 

かつて各家庭でも手作りされていた干し餅ですが、

最近は作る人も減ってきているようで、

産直で販売される時期には、自分の好みに合う作り手さんのものを

購入しようと多くのお客さんが訪れます。

 

 

 

私は藤里出身ですが、幼い頃から、毎年時季になると必ず

お茶菓子として干し餅が家にあった記憶があります。

特に、私の婆ちゃんはこれが大好きで、

吊るし紐つきの干し餅を注文して、毎年買っていました。

そして、そのまま食べるのはもちろん、

干し餅を揚げたり、焼いたりして楽しんで食べていました。

 

右が揚げ干し餅、左が焼き干し餅

 

 

私も好きで、食べ始めると噛めば噛むほど味が

でてくるので止まらなくなります。

食感は、最初はサクサクしますが、だんだんにボソボソとなって

口の中の水分が取られるので、お茶が必須です。

 

季節を感じさせてくれる雪国のおやつ、干し餅。

その食感で好き嫌いが分かれますが、食べず嫌いせずに一度ご賞味ください。

 

 

文=松嶋有季江

 

松嶋有季江(まつしまゆきえ)

わたす研究所・メンバー。藤里町出身・在住。小学生1児の母。

 

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