今回ご紹介するのは、春の訪れを感じるおやつ「干し餅」です。
稲刈り終了後、秋から冬の一番寒い時期にかけて作られ、
1月下旬から春にかけて出回ります。
干し餅は、秋田県だけではなく、青森県や長野県など、
寒冷地で昔から作り続けられている伝統的な保存食です。
収穫したばかりのもち米で餅を作り、切って、吊るし編みに。
その後、水につけて多量の水分を含ませたら、
軒先など屋外に干します。
寒波を利用し、自然の力で餅を凍らせることで、
歯応えがいい干し餅ができます。
色とりどりの干し餅カーテン
作り手の方によると、しっかり凍っていないと、
餅に亀裂が入って失敗してしまうそうです。
寒さの厳しい時期に作るため、
「天候に左右される事が1番大変」と教えてくれました。
かつて各家庭でも手作りされていた干し餅ですが、
最近は作る人も減ってきているようで、
産直で販売される時期には、自分の好みに合う作り手さんのものを
購入しようと多くのお客さんが訪れます。
私は藤里出身ですが、幼い頃から、毎年時季になると必ず
お茶菓子として干し餅が家にあった記憶があります。
特に、私の婆ちゃんはこれが大好きで、
吊るし紐つきの干し餅を注文して、毎年買っていました。
そして、そのまま食べるのはもちろん、
干し餅を揚げたり、焼いたりして楽しんで食べていました。
右が揚げ干し餅、左が焼き干し餅
私も好きで、食べ始めると噛めば噛むほど味が
でてくるので止まらなくなります。
食感は、最初はサクサクしますが、だんだんにボソボソとなって
口の中の水分が取られるので、お茶が必須です。
季節を感じさせてくれる雪国のおやつ、干し餅。
その食感で好き嫌いが分かれますが、食べず嫌いせずに一度ご賞味ください。
文=松嶋有季江
松嶋有季江(まつしまゆきえ)
わたす研究所・メンバー。藤里町出身・在住。小学生1児の母。