FUJISATO LIVING COLUMN

  • 暮らしのツボ
  • 2023/08/30

先月15日からの記録的大雨で、秋田県内では

住宅の浸水や土砂崩れなど、被害が広範囲に及びました。

藤里町では、15日一日だけで平年の7月1ヶ月分と同じくらいの降水量*となり、

町の大半の地域に「避難指示」が出され、一時は戦々恐々としました。

 

幸いなことに、今回は、大規模な土砂災害や河川の氾濫には至りませんでしたが、

数軒の住宅が浸水や土砂流入の被害を受け、道路の崩落が複数箇所で発生しました。

田畑への冠水や土砂流入、林道の崩落なども発生し、農林業への影響も深刻なようです。

 

 

町内の複数箇所でこのような道路の崩落が発生(写真提供=藤里町生活環境課)

 

 

 

都市部から山間部へなど、これまでと違う環境に移住するということは、

災害時、これまでと違うリスクにさらされる可能性があるということ。

移住プランが具体的になってきた方は、一度は町にお越しいただき、

候補物件周辺について、地元の方々に話を聞いてみることをお勧めします。

 

というのも、今回、実際に記録的な大雨を経験して気づかされたのは、

防災マップ上には示されない、個別具体の場所についての詳細なリスクを、

過去の災害時の経験をもとに把握しておくことが大事だということです。

そして、それらの「災害史」ともいえる情報は、

実際に経験した地元の人たちに聞くのが一番です。

 

以前から、「〇〇川は普段は小さいが、一気に大きくなる」

「あの辺りは実は土地が低く、水が出やすい」

「あの水路のあの辺りは、何かあると詰まりやすい」

などという話を、地元出身の方々からお聞きしていましたが、

今回の記録的な大雨は、それらを証明する機会となりました。

口伝で伝えられるこのような情報は、防災マップと重なり、

また、それ以上に、話す人の実感を伴って、

細かい箇所ごとの危険度の高さを伝えてくれるものでもあります。

 

 

町民の中には、消防団員として、災害対応の経験した方々もいます。

地区によっては、役場から避難指示が出なくても、

皆自主避難するというケースもあるようですし、

生の災害史に触れる機会を、ぜひ持ってみてください。

 

 

 

さて、被害の大きかった秋田市や五城目町、能代市の一部などには、

実家があったり、親戚や友人・知人が住んでいたりと、

つながりを持つ藤里町民も多く、心配な日々が続いています。

異常気象が続き、どんなに備えても憂いをぬぐいきれない時代。

非常時に助け合える関係性を、日頃から育んでいきたいと強く感じます。

 

 

 

<お役立ち参考情報>

藤里町防災マップ

地域ごとのPDF 

WEB版  ※住所を入力するとその地点の被害想定を見ることが出来る。

 

秋田県河川砂防情報システム

「藤琴川」に設置された河川カメラ  ※オンタイムで川の情報を見ることが出来る。

「藤琴川」「粕毛川」の水位 

 

 

役場の備蓄品である、五目ごはん、ビスコ、水(白神山水)。写真内のもの以外に、わかめご飯、山菜おこわ、段ボールベッドと間仕切り、毛布などもある。**

 

 

防災無線戸別受信機。屋外のスピーカーに加え、各世帯の屋内に設置し、放送が聞きやすくなるようにしている。我が家はリビングの角に。藤里町では、新たに転居してきた世帯は無償で貸してもらえる。

 

 

 

*7月の平年1ヶ月分の降水量が275.6ミリに対し、7/15の降水量は273ミリとなった。

**2023年8月時点。備品の内容は、今後変更の可能性があることをご了承ください。

 

 

 

文=佐々木絵里子

 

 

佐々木絵里子(ささきえりこ)

わたす研究所・代表

埼玉県出身で、結婚を機に藤里町に移住。町役場および地域⼥性陣との協働プロジェクトを経て、2022年わたす研究所として独⽴し、地⽅における柔軟な働き⽅のしくみづくりに取り組む。2023年より一般財団法人 KILTA(キルタ)理事も兼務。小学生と保育園児の2児の母。

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