山に囲まれた地域に移住したなら、楽しみたい山菜料理。
目利きが必要だったり処理にコツがあったり、難しいのでは?と思いがちですが、
中には、思いのほかシンプルに調理できる食材もあります。
以前、わたけんコラムNo.13でご紹介した「タラの芽」もその1つですが、
今回は、こちら、根曲竹(ネマガリダケ)をご紹介します。
豚汁の要領で調理したタケノコ汁。子どもたちも大好き!
「タケノコ」と言ったら、全国的には孟宗竹(モウソウチク)のことを指しますが、
孟宗竹はこのあたりには生えておらずあまり馴染みがないようで、
みなさん、この根曲竹のことを「タケノコ」と呼びます。
根曲竹は藤里や秋田だけでなく、北海道から山陰地方まで広く食べられており、
地域によっては姫竹(ひめたけ)など、別の名前で呼ぶ場合もあるそう。
このあたりでは5月の短い期間が旬ですが、名人レベルになると、
水煮や缶詰にして保存し、年間を通じて楽しんでいます。
下処理の済んだものを入手できると、そのまま調理ができてラクですが、
ついさっき山から採ってきて、土がついたままの状態のものを頂くこともしばしば。
せっかく頂戴した春の恵みを無駄にしないよう、下処理方法をご紹介します!
①じゃぶじゃぶ洗って、簡単に土を落とし、
②身の入っていない先端部分を斜めに切り落とし、
③皮付きのまま湯がく。皮が鮮やかな緑色になったらOK。
名人曰く、湯がく前に皮をむいたほうが、本当は鮮度が保てていいそうですが、
ごくまれに小さな虫が住んでいることがあり、チクンとかまれてしまう恐れも。
皮の状態を見て、虫のいるいないを判断できる人もいるそうですが、
初心者には難しいですよね。なので、皮付きのまま湯がいてしまう。
目利き力がなくとも、下処理できるようにするポイントはここです!
④水で冷ましたら、節に沿って皮むき。湯がくと、皮が柔らかくなって剥きやすい。
⑤最後は、指で押して固い節を切り落として終了!
⑤の節取りは、実際の様子を見ないと分かりにくいかもしれませんので、
インスタグラムに投稿した動画を合わせてご覧ください。
下処理終了。先端のないコロンとしたものは、切り落とした節と節の間の部分。
左から順番に、皮付き、皮むき後、節取り後(食べられる部分)、節の部分(捨てる部分)。
皮付きだと太く長く大きく見えますが、下処理後は思ったより細く小さくなります。
名人曰く、「こんたに採ってきても、こんけばりにしかならねぇったよ」
(=こんなにたくさん採ってきても、このくらいにしかならないんだよ)とのこと。
お椀いっぱいに盛られたタケノコ汁が、ご馳走であることが分かりますね。
下処理は、慣れるまで多少時間がかかるかもしれませんが、
黙々と作業すると、頭がスッキリしてストレス解消になるという人も。
採りたてが手に入るのは毎年ほんの短い期間ですので、
季節の行事と捉えて、ぜひチャレンジしてみてください!
文=佐々木絵里子
佐々木絵里子(ささきえりこ)
わたす研究所・代表
埼玉県出身で、結婚を機に藤里町に移住。町役場および地域⼥性陣との協働プロジェクトを経て、2022年わたす研究所として独立し、地⽅における柔軟な働き方のしくみづくりに取り組む。2023年より一般財団法人 KILTA(キルタ)理事も兼務。小学生と保育園児の2児の母。