FUJISATO LIVING COLUMN

  • 暮らしのツボ
  • 2026/05/29

都会から藤里を訪れたみなさんが口にするのは、「静かですね」ということ。
中には、移住後しばらくは、静かすぎて落ち着かなかったという方も。
確かに静かではありますが、もちろん全く無音なわけではありません。
特に5月頃は、田舎ならではの「音」があふれる時期なんです。

水を張った田んぼで田植えが進みます。5月の藤里らしい1枚。

 

 

一番この時期らしいと感じる音は、鳥の声。
白鳥など冬の渡り鳥たちが北へ飛び立ったあと、南から渡ってきた鳥たちが里山を自由に飛び回るようになります。
比較的小柄な種類が多いせいか、素人の私にはツバメくらいしか見分けがつかないのですが、鳴き声は多種多様。

色々な種類の鳥を見かけますが、すぐ逃げてしまい写真はほとんど撮れません…。

甲高く「ケーン ケーン」と鳴くキジ。どうやら近所に住み着いているようです。

 

 

何の鳥の声か判別はできなくても、無意識的に「今聞こえるのはさっきと違うな」と聞き分けていたり、まるで“耳が開いていく”ような感覚に。
都会では、例えば電車の中で周囲の音を遮断するためにヘッドホンなどを使うことも多いですが、それとは逆の感覚かもしれません。

白神山地世界遺産センター藤里館では、年に数回「野鳥観察会」を開催してくれているので、何の鳥の声か知りたい方におすすめです。

春の観察会が今年は6/13に開催される。

 

 

もう1つ、この時期の藤里らしいのが、田植え機など農作業の音。
雪解けが進み、藤里駒ケ岳に馬の姿が現れると田植えスタートの合図。
田植え機の「タッタッタッタ」という一定のリズムを刻む音が聞こえると、今年もいよいよ始まったんだなと分かります。

色々なタイプ・大きさの田植え機が町内各所を動き回る。農家さんは大忙し。

 

 

 

田植え機以外にも、早朝から「ブッシュ」と呼ばれる草刈り機の「ブイーン」という音が聞こえたり、軽トラックがせわしなく行き交ったり、雪で閉ざされていた地域が一気に動き始めたことを感じさせてくれます。

どの音も不思議と嫌ではないのは、自然の豊かさや季節の移ろい、暮らしの気配を感じさせてくれるからかもしれません。
田植え機やブッシュなどの機械音は近くにいると確かに大きいのですが、食を支えてくれていること、地域をきれいに保ってくれていることを分かっているからか、ありがとうございますという気持ちでいることもできます。

ブッシュで草刈り中。早朝、暑くなる前にやる人が多い。

 

5月は窓を開けて過ごせるようになり、農作業が本格化するため特にそうですが、他の時期もその季節ならではの音があります。
そんな優しい音たちに気付いていけると、自分もその中で暮らしていることを実感していけるように感じます。

幼稚園生の娘は遠くの音に耳を澄まして「これなんのおと?」とよく聞いてきます。

 

 

文=佐々木絵里子

 

佐々木絵里子(ささきえりこ)
わたす研究所・代表
埼玉県出身で、結婚を機に藤里町に移住。町役場および地域⼥性陣との協働プロジェクトを経て、2022年わたす研究所として独⽴し、地⽅における柔軟な働き⽅のしくみづくりに取り組む。2023年より藤里町教育委員会教育委員も兼務。2児の母。

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